甲状腺眼症
【誤解だらけの甲状腺と目の病気】
Q1.甲状腺の病気で目が悪くなるのですか?
A1.はい。一般的にはバセドウ病(甲状腺機能亢進症)で目が突出してくるということはよく知られていますが、誤解が多いのは、甲状腺機能が正常でも甲状腺に対する異常な物質(抗体)があると、目が出てきたり、あるいは他の様々な目の症状が現れることです。
Q2.甲状腺が原因で目にくる症状はどのようなものでしょうか?
A2.まぶたが腫れたり発赤したり、ひきつれてびっくり目になったり、白目が充血したりとか、最初にまぶたに症状が現れることが多いのです。単なる結膜炎や眼瞼炎と間違われることが多いので注意が必要です。また、目を動かす筋肉の異常から、目の焦点が合わなくなってきて目がよく疲れるとか、1つの物が2つに見えてくるとか、そういったことになると、「見る」ということ自体に、苦労するようになります。さらに病気が進むと、目が出てきますし、視神経という、物を見る神経も障害を起こして視力が下がり、見えにくくなることもあります。(写真 前眼部 治療前の写真)
Q3.どうしてそんなに色々な症状が出るのでしょうか?
A3.病気の原因は、体の免疫系が狂って甲状腺に対する異常な物質(抗体)ができてくることにあります。その抗体は甲状腺を刺激して病気を起こすのですが、同時に、眼球の奥の筋肉とか脂肪が集まっている眼窩というところにも炎症を起こすことにより、様々な目の症状を来します。(甲状腺眼症の部位と症状)
Q4.バセドウ病が進行すると目にきて、目が悪くなるのでしょうか?
A4.よく誤解されるのがこの点です。異常な反応が眼窩でのみ起こり、甲状腺本体には起こらないときもあるのです。また両方ともくることがあって、必ずしもバセドウ病が進行すると必ず目にくるというわけではありません。甲状腺に異常をきたしていない時には、もちろん内科の症状はまったく出ていないので診断がつかないことが多いのです。
Q5.目に症状が出た時、治療はあるのですか?
A5.あります。治療法はないとか、内科の治療をしていればよいとか、この点もよく誤解される点です。放置した場合でも、時間がたって活動性が収まると、ある程度よくなるということはありますが、後遺症として残り、特に症状が強いときは見え方とか美容上の問題となります。内科とは別の眼科の治療が早期に必要と考えています。
Q6.目の治療は内科に行くとしてもらえるのでしょうか?
A6.眼科の領域なので、内科では治療されることはありません。
Q7.眼科へ行けばよいのでしょうか?
A7.はい。しかし、一般的に眼科医は甲状腺の病気に慣れていないので、適切な診断や治療が受けられないのが実情です。甲状腺の専門的知識を持った眼科医に診てもらうことが重要です。
Q8.治療はどんなことをするのでしょうか?
A8.ステロイドホルモンという薬を使います。症状が強いとき、大量に点滴を行いますが、副作用が出ることも多いので入院した上で全身的に管理しながら行う必要があります。
また、内服とか、まぶたへの注射、眼球の後部への注射を症状に応じて行うことになります。
放射線治療も症状によっては行うこともあります。目の位置がずれているような時にはプリズム眼鏡を合わせたり、斜視の手術を行うこともあります。
Q9.治療の開始時期はいつ頃がよいのでしょうか?
A9.早期に治療することが大切です。目に発症してから半年も経つと、症状が固定してしまい、治療効果が乏しくなるからです。活動性が収まって後遺症として眼球突出が残っている場合には治療効果は望めません。
甲状腺眼症の症状
結膜充血 |
右眼のまぶたが少し腫れ、涙腺も腫大している(赤丸内) |
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右眼は大きく開いて上方に動かすことができない。下方を見たときにまぶたが下がらない。治療後は、これらの症状はかなり改善される。
左眼瞼のひきつれは眼瞼への注射などの治療で改善されている。
甲状腺眼症の部位と症状
眼瞼異常(70〜95%):まぶたが腫れたり、上方へひきつれたり、目をむきだしたようになる。 |
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眼球突出 ( 40 〜 50 %):目の奥の脂肪や筋肉が腫れて眼球が前に押し出される。 |
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外眼筋腫大(下>内>上>外)眼球運動障害(複視)(30〜40%):筋肉が腫れて自由に動かせなくなる。 |
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涙腺腫大:涙液分泌低下による角結膜障害 |
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漏斗部狭窄・圧迫による視神経症(視神経障害)、眼窩内圧上昇に伴う眼圧上昇:視力が下がる |

















